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事例: ハード・ソフトがからむ高難易度案件のワンストップ受託

多くの場合、技術開発はクライアントのエンジニアの方に中心になって進めていただき、私はそれを支援しながら、皆さんに経験と自信をつけてもらうようにしています。

 

けれども、ときには、それではプロジェクトの期日に間に合わないとか、自分たちのスキルとかけ離れすぎていていきなり全部は無理、ということがあります。そんな時は、開発作業そのものを受託することもあります。信号処理、AI、システムプログラミング、組み込みLinuxの整備、SystemVerilogによるFPGAのハードウェア記述などがからんだ難易度の高い案件をワンストップで請け負いながら、次第にクライアントのエンジニアの皆さんに技術移管していきます。

 

例えば:

  • AI応用新機種のためのLinux搭載CPU
    普通のLinux搭載ボードならわざわざ開発する必要はありませんが、この案件では、搭載する装置内の各部をモニタリングする数十チャンネルのアナログ入力、多チャンネルのModbus、電源品質監視など、標準品では収まらないI/Oが必要で、かつ極めてノイズの大きな環境に耐える設計が求められました。加えて、それを3ヵ月で用意する必要があり、通常のカスタム開発をベンダーに依頼できない状況でした。半導体入手性、CPU性能向上への対応、ベンダーロックイン回避、を考えたアーキテクチャの立案から始まり、回路設計、FPGA開発、組み込みYocto LinuxのBSP開発などを、電子回路の専門家と共に実施しました。現在は、量産版のベンダー選定や技術支援を行ってフォローしています。
     

  • 約0.1mmの微細な金属部品のインプロセス検査装置
    顕微鏡下で画像検査できるなら簡単ですが、切削油がジャバジャバと降り注ぐ加工機内では光学的な方法は使えません。このような微細なものを検出できるセンサーは市販されていないので、開発に踏み切りました。
    7~8桁の精度を必要とする微弱な信号の検出方法については高周波アナログの専門家と、また現場運用を容易にするため使い慣れている加工機の刃具と同形状にセンサーをまとめる方法は精密金属加工の専門家と、それぞれ協力して世界初のこのセンサーを開発しました。
    私は幹事会社として全体をとりまとめるとともに、FPGA上の検出・測定ロジック開発 (SystemVerilog)、おなじくFPGA上のArmコア上でのLinux環境立ち上げ、そこでのディープラーニングによる判定、工作機械との検査結果の通信、外部から状況を監視するためのWeb APIの開発(Python)、などを担当しました。

     

  • 可変クロックの超高速ADCからの信号取得とPCインターフェース
    素粒子研究用の実験設備の一部です。固定クロックでのサンプリングなら普通のAD変換ですが、サンプリング周波数が変化するので、測定系のあちこちにあるPLLの応答特性など慎重な考慮が必要なシステムです。
    もともと受託していた会社が途中でギブアップし、緊急応援で参加しました。
    ​システム設計や測定装置とPC間の制御プロトコルの設計から始まり、FPGAの測定ロジック設計と実装、キャプチャしたAD変換結果のPCへの送信、それにPC側のデータ処理プログラムを開発しました。

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